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横浜家庭裁判所 昭和39年(少ハ)9号 決定

本人 E(昭一八・一〇・四生)

主文

本人を昭和三九年九月三〇日まで特別少年院に継続して収容する。

理由

本件申請の要旨は、本人は、昭和三八年六月一四日当裁判所において特別少年院送致の決定を受け、同月一五日以来久里浜少年院に入院中のものであるが、これまで前後六回にわたり喧嘩、喫煙、窃取、怠業、暴力等の反則事故があつて、成績が向上せず、本年六月三日その処遇段階がようやく一級上になつたばかりであるうえ、本人は、現在理容学校の課程を履修中で、本年九月末卒業見込であり、卒業資格を得た後出院することが本人の更生上望しいと考えられるので、本年九月末日までひきつづき矯正教育を施す必要がある。というのである。

よつて、審理するに、本人は、上記のとおり、昭和三八年一〇月一四日当裁判所において特別少年院送致の決定を受け、同月一五日以来久里浜少年院に入院しているものであるが、本人は、それまでもしばしば非行をなし、横浜および東京各家庭裁判所において、中等少年院送致、保護観察、試験観察による補導委託等の処分を受けながら、更生することができずに非行を重ね、遂に上記特別少年院送致の決定を受けたのであるにもかかわらず、久里浜少年院に入院以来、上記申請理由のとおり六回もの反則事故を起こして、反省の色が薄く、その処遇段階もようやく本年六月三日一級上になつたにすぎないばかりか、本人の家族の受け入れ意思は消極的で、将来とも両親等の保護を期待するのは困難な事情にあり、本人にとつて自主独立の方途を身につけることは、極めて必要事であるところ、本人は、現在理容学校の課程を履修中で、それは本年九月末に終了するものであることが認められる。

以上、かれこれ合わせ考えると、本人の犯罪的傾向は、いまだ矯正されたものとは認められず、このまま退院させることは不適当で、更に収容を継続して、矯正教育を施すのを至当と認める。そして、その収容継続期間は、本人の現在の処遇段階および理容学校の課程終了時期等よりして、本年九月末日までとするのを適当と認める。

よつて、少年院法一一条四項により主文のとおり決定する。

(裁判官 丹野益男)

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